2008年5月3日土曜日

ウスリースク便り(37)

                 
  ビエンナーレ囲碁大会

 ウラジオストクで第5回ビエンナーレが開かれました。ビエンナーレはイタリア語で「二年に一度」の意味で英語のbiannualに相当します。ウラジオストク市の創立記念日にあわせて周辺諸国のさまざまな分野の人々が参加しています。日本からも美術、音楽、演劇、民俗芸能などに多くの人々が参加していました。

 一回戦、二回戦は13子局、9子局とハンデの重い戦いでした。二回戦のイーラさんには、指導碁でも8子局で連敗していて、苦戦をしいられました。

ヨセの段階で30目近くのひらきがあり、敗戦を覚悟しましたが、隅の石の受け方ににミスがあり、運よく2目勝つことができました。

 準決勝は優勝候補の筆頭アレクセイ会長を7子局で破った弁護士のディアさんです。去年の総領事杯のBリーグで2位になった後、研究熱心もあって成長著しい打ち手です。石をとるのが好きで、上級者に対しても力で立ち向かってきます。

 置石の威力もあって、終盤まで常に圧倒されっぱなしで、いつ私が投了してもいい碁でしたが、あきらめずに粘っていたところ、ヨセの段階で相手に大きなミスがあり20目近く相手の地に侵入することができ、3目勝ちとなりました。

 本来この準決勝は、大会2日目で打つことになっていたのですが、大学時代の友人4名がウラジオストクへ遊びに来るので、特別に1日目に打ってもらったものでした。

 2日目の決勝戦は51番学校の16歳のサーシャ君です。インターネットで毎日対局していて、着手も早く手が見えるのが特徴です。最近は伸張著しく、アレクセイ会長に3子局、2子局でそれぞれ3連勝し、現在は定先で対局しています。日本の碁会所でも、3~4段クラスで打てるところまで上達しています。対局規定で3子局となりましたが、指導碁では完敗を喫し続けていました。

 彼は優勝を意識してか、星に対するカカリにはすべて堅実な小ゲイマ受けです。ヘンの星とのあいだに打ち込むと、安全を期したつもりか白石の下につけて渡ろうとします。この後は一本道で白の理想通りに石は流れていきます。
 
これは六子以上の置碁に生じる有名な「はめ手」なのですが彼は知らなかったようです。結果は黒の4子をとった上に中央も厚くなって、置石のハンデはなくなってしまいました。

 結果は白の4目勝ちとなり優勝することができました。立派なロシア語で書かれた賞状と、小林光一副理事長(当時)のサイン入りの扇子をいただきました。

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