2008年4月30日水曜日

ウスリースク便り(40)

          
 後期の授業が始まってちょうど4週間が経過しました。きょう、3月1日(土)は本来休みの日ですが、3月8日(土)の女性の日から11日(火)までを4連休にするために、11日(火)の授業を行いました。1時限目の開始時間は、8時からですが、今週の初めくらいからずいぶん明るくなったので家を出る時も心理的にずいぶん楽になりました。

後期授業が始まり、4年生が6週間の教育実習に行っているので、週6コマです。5年生(韓国語専攻クラス)の授業も、順調に進み、「みんなの日本語」IIの47課に入りました。この調子で進めば、3月の授業終了時までに教科書を終えることができそうです。

43課から48課までは、特に難しい文法事項もなく、学習内容がロシア語に対応する表現があるので理解が早いようです。49課は尊敬語、50課では丁寧語を扱うので少し時間をかけて理解を深めたいと思っています。

きょう47課の学習内容は、話しての得た情報を聞き手に伝える表現です。
文型 1. 天気予報に よると、あしたは 寒く なるそうです。
ウスリースクは今年も暖冬です。2月にマイナス30℃を越える日が一日あっただけで、それ以外は日中マイナス5℃~10℃前後で安定しています。


(1)個人レッスン
 授業開始の8時になっても学生が一人も来ておらず、3年目で初めての休講になるかと危惧していたのですが、5分遅れで一人目の学生(ヴィーカ)がやって来ました。基本文型の復習と練習Bと練習Cを終えた時に、二人目の学生(ナースチャ)が30分遅れで到着しました。


風邪気味で体調がよくないとのことでつらそうでしたが、同じ練習問題を25分間で終了させました。すると3人目の学生(アンナ)が登場。朝早い時間は目の調子がよくないそうで物が見にくいとか。またもや、同じ練習問題をやることになりました。今日は、個人授業で、同じ練習問題を3回やることになりました。3年間で初めての経験です。

土曜日に授業をやってまで、3連休を4連休にする必要もないと思うのですが、この辺の感覚はよくわかりません。明日2日(日)はロシアの大統領選挙です。ウスリースクで最も大きいスーパーマーケット(5+)の入り口には、大統領候補のデミトリー・メドベージェフ副首相の写真入りパンフレット(14ページ)が置いてありますが、他の大統領候補のポスターやパンフレットらしきものを見当たりません。(沿海州の議員選挙の時には、多くの候補者の写真やパンフレットを見たのですが。)

このパンフレットの中には、16枚の写真がはいっているのですが、プーチン大統領の写真は一枚も入っていません。プーチン色を薄めても圧倒的優位はゆるがないためでしようか。学生も選挙にはほとんど関心がなく、5年生9人にきいたところ選挙に行くと答えた学生はひとりだけでした。


(2)物価上昇
 今年に入って物価の上昇が目立ちます。主要な交通機関であるバスの運賃が1月1日から値上げになりました。市内バスが、大人8ルーブルが9ルーブルに、バスと同じ路線を走り、乗り降り自由のマイクロバスが8ルーブルから10ルーブルになりました。公共機関の値上げは一年に一回限りと言うことですが、いずれ10ルーブルになることは間違いありません。

ウラジオストクまでの長距離バスの運賃が、125ルーブルから140ルーブルに、白タクは150ルーブルから200ルーブルになりました。囲碁指導の際利用する国立海洋大学のゲストルームも410ルーブルから450ルーブルに値上げになりました。理髪店も、160ルーブルから200ルーブルに、行きつけのレストランのビジネス・ランチが150ルーブルから160ルーブルに値上がりしました。


 その他の日用品も値上がりし、乳製品や肉、野菜なども値上がりしています。
わずかな値上げでも、もとの価格が安いために8%~10%の値上げになります。昨年の10月には、ウスリースクの中心部に、大型家電店(エルドラド)とショッピングセンター(アンタレス)が完成しました。大型家電店は日本のヤマダ電機やコジマ電機のような規模と商品を備えています。ショッピングセンターは、一階が大型スーパーと肉、野菜、果物などの小売店、2階,3階は各種専門店が入っています。

両店舗とも3階立てで、ウスリースクでは珍しくエスカレーターを備えています。平日でも、多くの人で賑わっているところみると、消費生活がこの1・2年で大幅に向上していることがわかります。経済が成長していく中で、ある程度の物価上昇はいたしかないことかもしれません。


 ウスリースクの中古車市場にも変化が感じられます。以前は、日本からの中古車輸入は年式の古い5~7年のものが多かったのですが、最近では3~5年の中古車が目立つようになり、新車も時折見受けられるようになりました。


 ロシア経済は原油価格の高騰とエネルギー資源の輸出が好調でここ数年、年8パーセント前後の経済成長を続けています。ルーブルの価値も上がっていて、2年半前にロシアに来た時は1ルーブルが、4.1円前後でしたが、現在では4.9円前後になっています。対ドルでも、1ドル24ルーブル前後で安定しています。この5年間で、ドルに対してルーブルの価値が20%近く上昇したそうです。


2007年の統計によれば、ロシアの外貨準備高は4500億ドルで、中国、日本についで世界第3位になったそうです。石油代金の決済をユーロ建てにしたため(ドルの一極支配を打破しようとする政策)、外貨の45%はユーロというところに特徴があります。メドベージェフ政権では、いずれルーブルによる石油代金の決済に踏み切るものと思われます。ロシアがこのまま、年8%程度の経済成長を続けていけば、5年後のルーブルの価値はどれくらいになっているか、楽しみでもあります。

ウスリースク便り(41)

3月も残りわずか一日なりました。便り(40)のあとも、毎日暖かい日が続き、夜中に2度1cm程度の積雪がありましたが、日中には全部とけてしまいました。市内の中心部には、凍結した雪も見られません。大学職員のオルガさんの話によると、「この20年間で、こんなに暖かい冬は初めて」とのことです。暖かさのためか、野良猫や野良犬が例年以上に走り回っているのが見られます。当初は、厳寒のシベリアの地に野良猫がたくさんいることが信じられませんでした。

ロシアの集合住宅は1階が地上1mくらいの高さにあり、その下に半地下があります。この地下室には、電気、電話、水道、湯道、下水などが配管されていて、集合的に管理が行われています。古くなった建物の半地下の窓が壊れていることが多く、中は暖かいため、この半地下に住み着いています。また、一部の野良猫は、現在使用していない、ふたのないマンホールの中や覆いのこわれた湯道管(地上に設置されていて、コンクリートで覆われている)の中に住み着いています。えさは、ゴミ箱(高さ80cmくらいの鉄製の箱)の中をあさって食べるか、猫好きの人たちが野良猫のために作った餌場から食べています。シベリアの野良猫は皮下脂肪をたくさん蓄えていて、日本の基準で言えば、「超デブ猫」になります。0℃をこえると外に出てきて動き回り、現在、日夜求愛活動に励んでいます。




(1)トラブルあれこれ
a. インターネットが不調です。 15日(土)から21日(金)までロシアのサーバーのUchiにつながりませんでした。UchiつながったあとInternet Explorerで日本にメールを送っています。以前に大学側が、サーバーへの代金が未払いで2日ほど利用できないことがありました。国際部長に点検を依頼した所、係りのものが病気で欠勤しているので、待つように言われました。21日の夕方、2時間ほどつながったあとで、また切れてしまいました。国際部長に再度点検を依頼した所、係りのものがまだ病気のためもうしばらく待つように言われました。28日(金)の夕方、突然、サーバーへの接続ができるようになりました。留守中に係りの人が、直しに来てくれたのか、未払いの使用料を払ったためなのか、接続できなかった原因や理由は不明のままです。




b. マンホールに落ちました。 以前に、ロシアにはふたのないマンホールがあるので、気をつけている話を書きました。放課後、教材用のコピーを依頼するために文房具屋へ向かいました。行きつけの文房具店は、メイン・ストリートのチチェリーナ通とレーニナ通(レーニンに由来)の交差点があり、人通りの多い所です。横断歩道があり、左折するために横断歩道の手前のマンホールに左足を乗せました。


すると鉄製の蓋が斜めに傾き、左足が足首まで入ってしまいました。鉄製の蓋が反動でもとの位置まで戻ってきたため足首が固定され、転んだまま動けなくなってしまいました。横断歩道を反対側から渡ってきたロシア人の青年が駆けつけてくれて、鉄製の蓋を動かして助けてくれました。

幸い、軽い打撲と捻挫ですんだのでよかったのですが、運が悪ければ骨折の可能性もありました。工事の人が、きちんと蓋をもとに戻していなかったためか、蓋を持ち去ろうとした人物が、重さのため途中であきらめて、そのままにしておいたためかも知れません。翌日、この話をロシア人の学生にすると、アンナさん(5年生・韓国語専攻)は「先生、ウスリースクでは蓋のあるマンホールも、注意してください。」と言って、ウインクしました。
c. 本が受け取れません。 中央郵便局から、日本から郵便物が届いているという配達通知が来ていてので、パスポートをもって荷物を受け取りに行きました。日本からの郵便物は。EMSで10日、航空便で約14日、船便で30~40日かかります。窓口でパスポートと配達通知を提示しました。通常なら、用紙にパスポート番号、名前、受取日を記入すると郵便物が受け取れます。


窓口の若い女性は、私の配達通知と書類を見て、なにやら早口のロシア語でまくしたてます。どうやら郵便物を受け取るのに、580ルーブルを支払えと言っているようです。理由をきいてもよく分かりません。日本からの送り状を見せてもらうと、桐朋高校の卒業生が38冊の本を送ってくれたことがわかりました。


以前、ジャパン・ファウンデーションから送られてきた日本語教材が、重量オーバーのため受け取りにお金を払ったときいていたので、了解した旨を伝えお金を払おうとしました。すると、お金は郵便局では受け取れないので、税関へ行くように言われ、税関の住所を渡されました。郵便局から税関までは徒歩10分ほどの所にあり、郵便局から税関まで直行しました。税関で、お金を払い郵便物を受け取りに来た旨を伝えましたが、税関の職員も担当者がわからず、3つの部屋に案内されました。

3つ目の部屋の女性係官が、ウラジオストクの税関に電話をかけ、事態が明らかになりました。彼女のロシア語の内容がはっきりわからず、困っていると英語の少し話せる男性職員が通訳にきてくれました。送られてきた荷物は、ロシアの郵便法に違反しているので、別の日に通訳を同行して税関にくるように言われました。


翌日タチヤナ先生に、税関に勤務している卒業生に調べてもらった所、本の大きさが著しく異なるものがある(そんな法律があったのかなあ?)ため、本人立会いの下に写真撮影し、荷物受け渡しの許可証を作成し、お金を払ったあとで、初めて荷物が受け取れることが分かりました。このため、税関へ2度、中央郵便局に2度行かなければならなくなりました。もし、本以外の食べ物などが入っていると、罰金と、衛生証明書が必要になるということでした。というわけで、Mさん、池波正太郎 38冊が届くまで、もう少しかかります。

ロシアの郵便局を民営化しろ

ウスリースク便り(42)

4月に入り、早朝に2回雪が1cmほど積もりましたが、午後には暖かくなり雪も消えてしまいました。13日、14日は、午後になっても10℃を越えず、1日中強い北風が吹いていて、寒い思いをしました。このあと2~3日強い風の日が続いたあとで、春がやって来ます。10日(木)で5年生の授業が全て終了しました。11日(金)は午後から5年生の卒業記念の演芸大会が行われ、歌や、踊り、寸劇などが行われました。夜はホテルのレストランで会食とダンスパーティーが行われました。14日(月)から卒業試験、6月には国家試験が行われ、両方の試験に合格しなければ卒業がすることはできません。日本であれば、卒業が正式に決まるか、卒業式のあとに卒業記念パーティーを開くのが一般的ですが、これもロシア式とでもいうのでしょうか。


(1) トラブルその後
d. 郵便物を受け取りました。

日本から送られてきた書籍の入ったダンボール箱をやっと受け取ることができました。翌週の月曜日に、大学へ自動車使用依頼書(実際はバス)を提出し水曜日に大学職員とともに、税関と郵便局へ行くことになりました。3時限目にあたる11時40分に出発の予定でしたが、直前にバスが故障して動かず、 やむなく予定を変更しました。学校のバスは30年近くたったバスで、よく故障します。2年半前に空港まで私を迎えに来てくれて、そのまま動かなくなり運転手とバスは空港内の駐車場に1泊したといういわくつきのものです。

3年生のオーリヤさんとカーチャさんが一緒に行ってくれることになりました。二人は中国語専攻の学生で、第二外国語として日本語を履修しています。カーチャさんのお父さんは日本から中古車を輸入販売しているとのことで、日本文化への関心も高く、日本語の学習も熱心です。

オーリヤさんは、3ヶ月間自動車学校にかよって、2年前に免許を取ったとのこと。費用は12,000p(約 60,000円)かかったとのことでした。オーリさんがお母さんと共用している車は、なんと私が徳島県で3年間乗ったグリーンの日産マーチでした。冬の間はほとんどの車が洗車をしないで乗っています。

洗車をしても、雪解けの水ですぐに車が汚れてしまうためです。彼女も車の汚れを気にせずに乗っているようです。大学から車で20分ほどの所に、郵便物を運ぶ、Ussuriisk Transportation Ltd.(ロシア語の他に英語表記あり)があり、その一角に税関がありました。ここで分かったことは、書籍の中に手紙と写真が入っていて、 郵便物に関する法律違反にあたるとのことでした。違反の程度が軽いということで、郵便局で税関員立会いのもとの写真撮影と書類作成を免除してもらえることになりました。

郵便物を受け取ることを承認するスタンプを押してもらい、中央郵便局へむかいました。郵便局へ行くと、受け取り窓口に5人の人が並んでいました。待つこと30分、所定の手続きをとって本を受け取るまで10分、計40分かかりました。

ロシアの郵便局の効率の悪さは驚くべきほどです。郵便物受け取り窓口の担当者はたった1人で、配達記録用紙を提出すると,用紙を確認して、局内から大きな袋を抱えて戻ってきます。袋の中に私宛のダンボール箱がいれてありました。ダンボールを袋から出すと、書類と一致するかを確認してコンピューターに書類番号と氏名を入力しました。その後で、同じ内容をノートに書き写しました。

最後に郵便法違反のため罰金610p(約3000円)を上司の確認のもとに手提げ金庫にしまいました。ロシアの郵便局は、日曜日と月曜日は完全休業で、その他の5日間も、午後1時~2時まで、全ての部署が一斉に昼休みをとります。

また時間が来れば、窓口に何人並んでいようが、おかまいなしに、業務をストップしてしまいます。ロシアへは、内容品の詳細な記載に書いた物以外を送ると郵便法違反になり罰金が科せられるのでご注意ください。

私の同僚のM先生は、日本から送られた辞書の背表紙まではがされて検査されたことがあるそうです。池波正太郎「鬼平犯科帳」全24冊、藤沢周平、浅田次郎、荻原浩,などの作品全37冊、Mさんありがとうございました。7月の帰国時まで当分の間楽しめそうです。

e. スリにご用心。
 二週間に一度、ウラジオストクの海洋大学へ囲碁の指導に行っています。遠距離要のバスターミナルは、町の中心部から30分ほど離れた場所にあります。6日(日)の帰りに、ターミナルに行くまでの間、バスのゆれと前日の疲れからつい居眠りをしてしまいました。

私の座った席は最後尾の左側の席でした。途中で20代とおぼしき若者が乗ってきて横に座りました。途中で居眠りをしてしまい、バスの大きなゆれで目をさますと、私の前の床に置いていたリュックサックの中に若者の左手が入っているのが見えました。

思わず男の手を掴んで「オイ」と日本語で叫んでしまいました。若者は悪びれた様子もなく、次の停留所で降りていきました。ちなみに、ロシア語で「オイ」は驚いた時に、「あら」とか「まあ」とかいった感じで使います。私が、「スリだ」とか「どろぼう」とかロシア語で叫べば男の態度も周囲の反応も違ったかもしれません。ウラジオストクはスリが多いと聞いていましたが、自分があやうくスリの被害者になろうとは思ってもいませんでした。

ウスリースク便り(43)


18日(金)の午後からは、北からの強い風も吹き止み、また日中は20度近くまで気温が上昇するようになりました。翌19日には、屋外にアイスクリーム売りと仮設のビアホールがオープンしました。梅の花とタンポポが一斉に咲き始め、いよいよ春到来かと喜んでいたところ、週末から天気がくずれ、なんと27日(日)には、早朝1~2cmの積雪があり、集中暖房が復活しました。今日28日も気温は10℃を越えず、暖房がついたままです。まさに春の雪です。

(1)日本映画祭
 春の雪と言えば、先月ウラジオストクで日本映画祭が行われ、三島由紀夫原作の『春の雪』、『リンダ・リンダ』と『パッチギ』の三作品が上映されました。ウラジオストクでは隔年に日本映画祭が行われます。一昨年は、森田芳光監督『阿修羅のごとく』,勅使河原宏監督『豪姫』と古厩智之監督『ロボコン』の三作品が上映されました。経費削減のため工科大学の講堂を借りて行ったため昼間の上映になった『ロボコン』は画面が見にくく、音響も悪かったため途中退場者もでて、かなりでて不評でした。

 学生に声をかけたところ、5年生の韓国語専攻のアンナさんとヴァレンティーナさんが申し出ました。
ウスリースクの映画館(一軒しかない)でロードショーを見ると、一番高い時間帯で150pします。ウスリースクの映画館は完全入れ替え制で、午前中は80p前後、昼間は100~120p、夜7時頃からの上映時が150p、最終回が120pになっています。

ウラジオストクまでの往復にバス代が360pかかり、時間もかかるので希望者が少ないのも当然です。アンナさんは、日本のアニメや音楽にも興味を持っており、日本映画の中では北野武監督の『ドール』が一番好きだとのことでした。北野武監督はロシアで最も有名な日本人で、映画関係では宮崎駿監督とともにフアンが多くいます。2007年のロシア語版『プレイボーイ』にも北野武の特集が5ページにわたって載っていました。ビデオも沢山販売されています。

北野武監督の8作品が収められたビデオを約1000円で購入して見たところ、なぜか座等市だけは勝新太郎の座等市が収められていてびっくりしました。このビデオはおそらく海賊版だと思われますが、街のビデオショップで堂々と売られています。正規のものは値段も高く、2000円~3000円します。

 ヴァレンティーナさんは、在露韓国人で。卒論でウズベキスタン在住の韓国人の韓国語と現代韓国語の対照研究をしています。『パッチギ』が在日朝鮮人をテーマにした映画だと知って、興味を持ったようです。

 井筒和幸監督の『パッチギ』は1960年代の終わりの京都を舞台にした青春映画で、鴨川をはさみ対立する日本人高校生と在日朝鮮高校生の愛をテーマにした作品ですが、グループサウンズ、フォークソング、学生運動、北朝鮮帰国船などのエピソードを巧みに取りいれて観客の笑いを誘います。500人近いロシア人の観客も、大喜びで、映画が終わった所で、一斉に拍手が起こりました。初めて見たキョンジャ役の澤尻エリカは光輝いていました。

1975年の夏にニューヨークの場末の映画館で、ブルース・リー主演の『ドラゴンへの道』を見た時、同じような体験をしたことを思い出しました。映画鑑賞後、ウラジオストクのレストランでグルジア料理を食べ、ウスリースクで学生を自宅まで送り、帰宅すると夜の11時を回っていました。二人の女子学生も大変面白い映画だったと喜んでいました。

(2)鳥インフルエンザ
 ウスリースクで鳥インフルエンザが発生しました。日本の友人、知人に何人か問い合わせてみましたが、あまり報道されていないようです。ロシア語版のインターネットを検索してみると、それらしい記事をみることができます。韓国語版にものっているとのことですので、ロシア語、韓国語の分かる方は、チェックしてみてください。

 沿海州ウスリースク地区ヴォズドヴィジェンカ村の民家の敷地内で、鳥10羽が死亡し、動物衛生監督極の検査の結果、鳥インフルエンザ「H5」の「A」型ウィルスによるものと判明しました。同じ敷地内に飼われていた42羽(鴨6羽、ホロホロ鳥8羽、鶏28羽)は焼却され、村全体が隔離されました。村では消毒,検疫が行われ、それ以外の症例は発見されていません。

ウスリースク地区とその北東に隣接するミハイロフスク地区では、動物衛生監督局により野生の渡り鳥の追加サンプル調査が行われています。専門家によれば、今回の鳥インフルエンザの原因は、問題となっている民家の主人が野生の水鳥を狩猟し、そのモツを家禽の餌にしたためと見ています。(ウラジオストク総領事館が『ヴォストーク・メディア』の記事を送ってくれました。その記事の要約です。)

 ロシアでの鳥インフルエンザ発生の記事は2007年、2006年には見られますが、今年度は最初の症例のようです。近くに渡り鳥の一大サンクチュアリがあるウスリースクでは、鳥インフルエンザの危険性は否定できません。

十分加熱調理すれば、食べ物を通じて感染することはないとのことです。生卵を食べるとか、目玉焼きを食べるとかしなければ安心だとのことですが、しばらくは鶏卵は食べないようにしています。鳥インフルエンザ発生後の学部長の誕生日パーティーには、鶏肉の料理が数種類出ていました。ウスリースクの住民はあまり気にしていないようです。