2008年6月18日水曜日

ウスリースク便り(76)

 O 続・満州日日新聞

 
 きょう、日本語科の本棚を整理していて、昭和十四年一月二十七日付けの満州新聞が見つかりました。これで二種類の古い新聞が見つかったわけですが、なぜ本棚に入っていたかは、いまだに不明です。シベリア出兵時にウスリースク会戦と呼ばれる戦闘があったことと、ウスリースクに捕虜収容所があったことが関係しているのかもしれません。

 二つの新聞をの娯楽欄を見ていて気づいたことがあります。『満州の冬は長く、屋外に娯楽機関を求められない関係上、自然室内、、、、、、、、、』(六面からの引用)での娯楽、映画と読書が中心になっています。広告欄から板妻・嵐寛・入江たか子がトップスターだったことが分かります。シピオネと美しき母性は主演者の名前がないことから外国映画のように思われます。

 入江たか子・高田稔の     吾亦紅
 エンタツ・アチャコの      忍術道中記
日本のフレッド・アステイア 中川三郎ハタース公演        大陸劇場

 板東妻三郎の          茨 右近  続魔像
 独逸映画 アナベラ主演    君と暮らせば               新富座

                    シピオネ
                    美しき母性                平安座

 南松新太郎・松浦妙子主演  田宮坊太郎
 立松晃主演           罪なき罪                   南座

 嵐寛十郎主演          鞍馬天狗                  奉劇


 図書館からみた最近の読書傾向    事変以来どんな本が一番よまれるか

 『文芸では一時パールバックのものが盛んに読まれましたが、現在では戦争文学が第一位を占め、例の火野葦平著"麦と兵隊""土と兵隊”をはじめとして"黄塵"(上田廣著)、”征野千里”(谷口勝著)が
殊に人気を博して居ります。

その他女流で林扶美子のものが”女の日記”から大抵一通りは何でもよまれているやうです。なほ最近殊に目立って読者の増えたのは、軽い随筆集とか、ユーモア小説で、ありきたりの恋愛小説などが全く省みられなくなりました。むしろ明治時代の大家の代表作は何時も繰り返して愛読されています。』 

 

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