2008年4月30日水曜日

ウスリースク便り(43)


18日(金)の午後からは、北からの強い風も吹き止み、また日中は20度近くまで気温が上昇するようになりました。翌19日には、屋外にアイスクリーム売りと仮設のビアホールがオープンしました。梅の花とタンポポが一斉に咲き始め、いよいよ春到来かと喜んでいたところ、週末から天気がくずれ、なんと27日(日)には、早朝1~2cmの積雪があり、集中暖房が復活しました。今日28日も気温は10℃を越えず、暖房がついたままです。まさに春の雪です。

(1)日本映画祭
 春の雪と言えば、先月ウラジオストクで日本映画祭が行われ、三島由紀夫原作の『春の雪』、『リンダ・リンダ』と『パッチギ』の三作品が上映されました。ウラジオストクでは隔年に日本映画祭が行われます。一昨年は、森田芳光監督『阿修羅のごとく』,勅使河原宏監督『豪姫』と古厩智之監督『ロボコン』の三作品が上映されました。経費削減のため工科大学の講堂を借りて行ったため昼間の上映になった『ロボコン』は画面が見にくく、音響も悪かったため途中退場者もでて、かなりでて不評でした。

 学生に声をかけたところ、5年生の韓国語専攻のアンナさんとヴァレンティーナさんが申し出ました。
ウスリースクの映画館(一軒しかない)でロードショーを見ると、一番高い時間帯で150pします。ウスリースクの映画館は完全入れ替え制で、午前中は80p前後、昼間は100~120p、夜7時頃からの上映時が150p、最終回が120pになっています。

ウラジオストクまでの往復にバス代が360pかかり、時間もかかるので希望者が少ないのも当然です。アンナさんは、日本のアニメや音楽にも興味を持っており、日本映画の中では北野武監督の『ドール』が一番好きだとのことでした。北野武監督はロシアで最も有名な日本人で、映画関係では宮崎駿監督とともにフアンが多くいます。2007年のロシア語版『プレイボーイ』にも北野武の特集が5ページにわたって載っていました。ビデオも沢山販売されています。

北野武監督の8作品が収められたビデオを約1000円で購入して見たところ、なぜか座等市だけは勝新太郎の座等市が収められていてびっくりしました。このビデオはおそらく海賊版だと思われますが、街のビデオショップで堂々と売られています。正規のものは値段も高く、2000円~3000円します。

 ヴァレンティーナさんは、在露韓国人で。卒論でウズベキスタン在住の韓国人の韓国語と現代韓国語の対照研究をしています。『パッチギ』が在日朝鮮人をテーマにした映画だと知って、興味を持ったようです。

 井筒和幸監督の『パッチギ』は1960年代の終わりの京都を舞台にした青春映画で、鴨川をはさみ対立する日本人高校生と在日朝鮮高校生の愛をテーマにした作品ですが、グループサウンズ、フォークソング、学生運動、北朝鮮帰国船などのエピソードを巧みに取りいれて観客の笑いを誘います。500人近いロシア人の観客も、大喜びで、映画が終わった所で、一斉に拍手が起こりました。初めて見たキョンジャ役の澤尻エリカは光輝いていました。

1975年の夏にニューヨークの場末の映画館で、ブルース・リー主演の『ドラゴンへの道』を見た時、同じような体験をしたことを思い出しました。映画鑑賞後、ウラジオストクのレストランでグルジア料理を食べ、ウスリースクで学生を自宅まで送り、帰宅すると夜の11時を回っていました。二人の女子学生も大変面白い映画だったと喜んでいました。

(2)鳥インフルエンザ
 ウスリースクで鳥インフルエンザが発生しました。日本の友人、知人に何人か問い合わせてみましたが、あまり報道されていないようです。ロシア語版のインターネットを検索してみると、それらしい記事をみることができます。韓国語版にものっているとのことですので、ロシア語、韓国語の分かる方は、チェックしてみてください。

 沿海州ウスリースク地区ヴォズドヴィジェンカ村の民家の敷地内で、鳥10羽が死亡し、動物衛生監督極の検査の結果、鳥インフルエンザ「H5」の「A」型ウィルスによるものと判明しました。同じ敷地内に飼われていた42羽(鴨6羽、ホロホロ鳥8羽、鶏28羽)は焼却され、村全体が隔離されました。村では消毒,検疫が行われ、それ以外の症例は発見されていません。

ウスリースク地区とその北東に隣接するミハイロフスク地区では、動物衛生監督局により野生の渡り鳥の追加サンプル調査が行われています。専門家によれば、今回の鳥インフルエンザの原因は、問題となっている民家の主人が野生の水鳥を狩猟し、そのモツを家禽の餌にしたためと見ています。(ウラジオストク総領事館が『ヴォストーク・メディア』の記事を送ってくれました。その記事の要約です。)

 ロシアでの鳥インフルエンザ発生の記事は2007年、2006年には見られますが、今年度は最初の症例のようです。近くに渡り鳥の一大サンクチュアリがあるウスリースクでは、鳥インフルエンザの危険性は否定できません。

十分加熱調理すれば、食べ物を通じて感染することはないとのことです。生卵を食べるとか、目玉焼きを食べるとかしなければ安心だとのことですが、しばらくは鶏卵は食べないようにしています。鳥インフルエンザ発生後の学部長の誕生日パーティーには、鶏肉の料理が数種類出ていました。ウスリースクの住民はあまり気にしていないようです。

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